今朝投入したコーヒーかすの分解は順調だろうか? 米ぬかを追加したことで、微生物の活動は活発になっただろうか? コンポストを始めると、中の状況が気になって仕方ありません。
仕事が終わって帰宅し、真っ先に段ボールのふたを開け、棒状温度計の目盛を読んで一喜一憂する……。その様子はまるで、手のかかるペットを育てているかのようです。
「外出先からでもコンポストの状態を確認できたら面白いのではないか」
そう考え、**Raspberry Pi Pico W(ラズパイPico W)**を活用し、スマホで温度と水分をリアルタイム監視できるシステムを構築してみました。
完成イメージ
まずは、実際に運用しているグラフの一例をご覧ください(2026年5月3日〜5月4日)。 青色がコンポスト内部、緑色が周辺(外気温)の温度を示しています。
青色と緑色のラインに乖離(かいり)があるほど、コンポスト内の微生物が元気に活動し、発熱していることを示しています。 データは常に最新の状態に更新され、ブログ等のWebブラウザ経由で「いつ、どこにいても」自宅のコンポストの様子を確認できます。
※グラフの急激な変動は、センサーの位置を調整した際のものです。コンポスト内部には意外にも温度ムラがあることがデータからも見て取れます。
システムの構成
小型マイコンボード「Raspberry Pi Pico W」を核とし、各種センサーで取得したデータをWi-Fi経由でサーバーへ送信する仕組みです。
Raspberry Pi Pico W
今回のシステムの中核を担うデバイスです。コンパクトかつ省電力でありながら、Wi-Fi/Bluetooth機能を標準搭載しており、家庭内IoTの自作に最適です。 Amazonなどで1,000円台から入手できるコストパフォーマンスの高さも魅力です。
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温度センサー(熱電対)
高温・多湿なコンポスト内部の計測には、耐久性に優れた熱電対が適しています。選定の際は、センサー部とケーブルが防水加工されていること、設置場所からの距離を考慮した十分なケーブル長があることがポイントです。
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熱電対モジュール
熱電対から得られる微弱なアナログ信号を、デジタル値に変換するために使用します。
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土壌水分計(静電容量式)
これまでは「手で握った感覚」という定性的な判断に頼っていた水分管理ですが、水分計を導入することで「〇%」という定量的なデータでの管理が可能になります。
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電源システム(太陽光パネル、バッテリー、ソーラーチャージャー)
屋外設置を前提としているため、USB給電ではなく太陽光発電による自立電源システムを構築しました。
- バッテリー: 発火リスクを考慮し、バイク用の鉛蓄電池(3000mAh)を選択。
- 太陽光パネル: 5Wタイプを採用。消費電力(約300mAh/日)に対し、晴天時の発電量(2000〜2500mAh/日)を確保することで、数日の曇天にも耐えられる設計です。
- ソーラーチャージャー: 過充電防止と電圧安定化のために必須です。待機電力も微々たるもので、運用に支障はありません。
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実際のセットアップ
精密機器を屋外で運用するため、ケースにはブリキの空き缶を利用しました。万一のトラブル時の延焼を防ぐためのリスク管理です。
「金属容器だとWi-Fiが遮断されるのでは?」という懸念もありましたが、蓋を閉めた状態でも通信への支障はなく、安定してデータを取得できています。

太陽光パネルは木材を使ってベランダに固定しました。

温度センサーと水分センサーをコンポストに埋め込めば測定開始です。

測定データの分析
コンポスト内の温度推移
10分間隔で測定を行い、最新の約1週間分(1,000データ)を可視化しています。 コンポスト周辺の温度(外気温)は、Pico W内部のセンサーで取得し、内部温度と比較することで微生物の活性度を評価しています。
基材中の水分量
静電容量式センサーにより算出しています。精度としてはあくまで目安ですが、定量的な数値が得られることで、水分補給のタイミングを見逃すことなく判断できるようになりました。
まとめ
IoTを導入したことで、生ごみを投入した後の分解プロセスを定量的に観察できるようになりました。
- 「コーヒーかす」と「茶殻」で温度上昇に差は出るか?
- どの生ごみが最も微生物の活性に寄与するのか?
- 基材交換後、微生物が定着するまでどの程度の時間を要するか?
スマホからライブで様子を確認できるようになったことで、コンポストへの愛着と楽しみがさらに増しています。持続可能な暮らしをもっと楽しく、もっと快適にアップデートしていければと思います。