みなさん、こんにちは! イソップ童話で地球の未来を考えるシリーズです。 今回は、ぬかるんだ泥道で起きた、一人の馬夫と、神ヘラクレスの、短くも強烈な「対話」のお話です。
1. 【おなじみの物語:ヘラクレスと馬夫】
中務哲郎訳『イソップ寓話集』(岩波文庫)には、こんなお話があります。
あるところに、一人の馬夫がいました。 彼が、重い荷物を積んだ車を引いて、ぬかるんだ泥道を歩いているとき、車が泥沼にはまって動かなくなってしまいました。 馬夫は、自分で車を押そうともせず、ただ車の横に立ち尽くし、空を見上げて、英雄の神ヘラクレスに祈り始めました。
「ああ、ヘラクレス様! お願いです、どうか私の車を泥沼から助け出してください! あなたの強大な力で、この車を動かしてください!」
馬夫は、必死になって神の「奇跡」を求めました。 すると、空からヘラクレスが現れ、馬夫にこう警告しました。
「ふん、お前の言うことは分かった。でも、まず自分の手で車を押し、鞭(むち)で馬を励ましてみるがいい。神は、自分の手で動こうとする者を助けるものだ。 自分で何もせず、ただ神に祈るだけの者を、誰が助けるだろうか!」
ヘラクレスは、馬夫の怠慢を戒め、自分で動くことの大切さを教えました。
2. 【もしも現代だったら?:排出削減の「神頼み」】
もし、このお話が今の地球で起きていたらどうなるでしょう?
現代の「泥沼」は、二酸化炭素(CO2)を出し続けたことで起きた、**「気候変動(猛暑や大洪水)という名の環境汚染」**かもしれません。 現代の「車」は、CO2をたくさん出し続け、今の便利で豊かな暮らしを楽しんでいる、私たち人間かもしれません。 現代の「馬夫」は、将来の不確実な環境技術(大きな魚)に期待して、今の「小さな削減(小さな魚)」を先延ばしにしている、私たち自身かもしれません。
「CO2削減? そんな難しいこと、後で考えればいいさ。将来、もっとすごいCO2回収技術(大きな魚)が開発されたら、それを一度に全部手に入れればいいじゃないか! それまでは、今の便利な生活(車)を続けよう!」
馬夫(私たち)が「将来の技術(神)」に期待して、今の「小さな削減(車を押す)」を先延ばしにしている間にも、空にはCO2がたまり続け、地球の「準備期間」は刻一刻と減っています。
3. 【地球からのメッセージ:泥沼からの脱出は、自分の手で】
このお話が教えてくれる一番大切なことは、**「将来の不確実な技術や他人の奇跡(神)に期待するより、今、ここにある確実な小さな一歩(自分の手)を大切にする(実行の重要性)」**ということです。
- 泥沼 = 気候変動、環境危機
- 車 = 今のCO2を出すライフスタイル
- 馬夫(現代) = 将来の技術に期待して、今取り組まない人
- ヘラクレス(現代) = 将来の不確実な環境技術(CO2回収など)
- ヘラクレスの警告 = 今、自分で動け(自分事化、実行の重要性)
イソップ童話の馬夫は、ヘラクレスに「将来もっと大きくなる」と約束しました(小さな魚の話)。でも、将来の環境技術が、期待通りに開発されるかは誰にも分かりません。もし、技術が間に合わなかったり、十分な効果が出なかったりしたら、その時になって「今、小さな削減をしておけばよかった」と後悔しても遅いのです。
「その時考えればいい」という準備不足が、一番の危機を招きます。 未来の私たちが暑さ(干ばつ)に震えないように。 今からできる「小さな削減(CO2を減らす工夫)」を、みんなで始めていきませんか?