靴のかかとや、スポーツ用品のグリップ、カバンの持ち手などがベタベタしてボロボロと崩れてしまう経験ないでしょうか。あれがウレタン樹脂です。
使い始めは柔らかくて革製品のような高級感がありますが、長期間使用していると、あるいは長期間保管していると劣化してしまいます。部品交換できない場合は製品そのものが使えなくなってしまいます。
上の写真はスーツケースの持ち手です。数年前に購入して1度しか使ってないのに、保管していただけでベトベトになり荷重をかけると壊れてしまいました。
スーツケース本体はきれいなもので丁寧に取り扱えば10年以上使えそうなのに、持ち手が壊れただけで製品そのものが使えなくなるのは勿体ないです。幸い今回は部品交換できましたが。
劣化の原因は水分や汗です。ウレタン樹脂は水や塩分に弱いのです。専門的に言うと、加水分解してしまいます。
ウレタン樹脂が登場するまで、持ち手などは硬質の樹脂や金属で作られていました。ウレタン樹脂にすることで金属を使わなくて済むのかもしれませんが、劣化は早いです。何年も使い続ける部品にウレタン樹脂は向かないです。
メーカーさんも分かっているはず。売れればそれでおしまいではなく、長期使用できるか、という視点で材質選定して製品を提供してもらいたいものです。
ウレタン樹脂はリサイクルしにくいプラスチックです。熱を加えて変形することができないで、使い終われば焼却するしかありません。またウレタンを構成する元素の中には窒素が入っているので燃焼時に有害ガスを出しやすく注意が必要。厄介なプラスチックです。