「成長の限界」を読むと「持続可能な発展」の意味が分かってくるよ

気候変動

「持続可能な発展」という言葉は「限られた資源を有効に使い、環境配慮しながら、快適な社会生活を維持し、経済成長も続ける」という都合のよい解釈をしてしまいそうですが、そんな甘くはないと思っています。

1972年に出版されたローマクラブによる「成長の限界」を読むと「持続可能な発展」の意味がイメージしやすくなります。簡単に言えば、持続したいなら成長を抑えよと、ごく当たり前のことが書かれています。

「成長の限界」は次のようなことを述べてます。「人口や工業生産の幾何級数的な増加は2100年までには破綻する。今のままの成長を続ける限り、様々な仮定をおいてシミュレーションをしても、資源枯渇や、食糧不足や、汚染などが深刻化して限界に達し、急激な成長の低下や人口の減少を招く」。

「成長の限界」には「持続可能な発展」という言葉は登場しません。「持続可能性のある世界的な均衡状態」という概念が示されています。均衡状態とは資本と人口が一定の状態です。これを実現させる政策として次が挙げられています

  1. 人口は1975年において出生率と死亡率が等しくなるように安定化させる。工業資本は1990年まで自然増加を許し、その後投資率を減耗率に等しくとることにより安定化させる
  2. 天然資源の消費を1970年の1/4に減らす。
  3. 社会の経済的選好を教育や保健施設のようなサービスに指向させて物財への指向を減らす
  4. 工業生産および農業生産における汚染を1970年の1/4に減らす
  5. すべての人に十分な食糧を生産することに価値を置く。たとえそれが不経済であっても。
  6. 高度な農業を重視し、土壌の肥沃化と保存を最優先する。
  7. 工業製品の耐久性とか修復性を増すように設計する

1972年当時の見解ですので対策をとるべき時期に現代との認識のずれがあるとしても、50 年前の指摘とは思えない新鮮さを感じます。

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