自然由来の石けん・洗剤と石油由来の合成石けん・洗剤、どちらが環境に優しいか、考えてみました。
まず、川や海への影響について考えてみましょう。僕の答えは、「下水処理が適切に行われていれば、自然由来洗剤も合成洗剤も影響は同等」です。なぜなら、自然由来と石油由来ともに、石けんの主成分は脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム、洗剤の主要成分は界面活性剤や酵素であり、下水処理施設で適切に処理され、あるいは家庭の浄化槽で微生物によって分解されるからです。水質は問題ないレベルに浄化されるため、両者の間に大きな違いはないと考えられます。
かつては合成石けん・洗剤にリンが含まれており、これが富栄養化を引き起こし、藻類やプランクトンの異常増殖を招いていました。また、不適切な下水処理が行われることもありましたが、現在は合成洗剤の改良と下水処理の普及により、環境への汚染は大幅に軽減されています。
次に二酸化炭素排出量の観点から考えてみましょう。僕の答えは、「同じ量の石けん・洗剤を使用する場合、自然由来洗剤の方が二酸化炭素排出量が少ないかも?」、です。自然由来の石けん・洗剤はココナツやパーム油、酵素などを原料としており、二酸化炭素排出量はほぼニュートラルです。
ただし、原料や製造過程におけるエネルギー消費に由来する二酸化炭素が存在するため、完全にゼロではありません。
特に自然由来の石けん・洗剤は洗浄力が低いため、多く使ってしまうことがあります。その結果、二酸化炭素排出量が増加することがあります。
興味深いデータがあります。石けん・洗剤の使用量は増加しており、これは清潔志向からくるものか、少量で十分なのに過剰に使用しているためか、自然由来品の洗浄力が低いために多く使われるようになったためか、はっきりしません。とにかく、使用量は増加傾向にあります。
自然由来、石油由来に関係なく、たくさん使えば、製造過程に必要なエネルギーも、排水処理時に必要なエネルギーも増えて二酸化炭素排出量を増やしてしまいます。
環境への配慮を考えるなら、できるだけ少量の石けん・洗剤を使うことが大切だと思います。