2030年までに二酸化炭素排出量を46%削減するためのシミュレーション

気候変動

2021年4月22日、政府は2030年までに二酸化炭素などの温室効果ガスを対2013年度比で46%削減すると表明しました。従来目標は26%ですので大きな上積みです。

日本、温暖化ガス13年度比46%減 2030年目標 気候サミット開幕 米は05年比半減、再生エネ重要に - 日本経済新聞
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菅首相が「野心的」と言うようにハードルは高いです。どうすれば達成できるのか、およその感度を理解したいと思い、仮定をおいてシミュ―レーションしてみました。

計算方法は、2013年度の各部門の二酸化炭素排出量*に対して2030年時に想定する「排出率」(削減した後の割合)をかけるという簡単な方法です。

次のように仮定しました。

  • 発電および熱供給は、経済性を度外視すれば天然ガスや再生エネルギーの普及など技術的な目途は得られているため大幅な削減が可能と考え、排出率を0.4(60%削減)としました。太陽光発電の拡大や洋上風力の適用が想定されます。
  • 航空、船舶、鉄道が使用する大容量の化石エネルギーは10年以内で代替を見つけることは難しいと考え、従来の省エネの延長で対応することを想定して、排出率を0.9(10%削減)としました。
  • 自動車はEVやFCV化が急激に推進することを想定し、排出率を0.5(50%削減)としました。今後の新車はすべてEV・FCVにするくらいの勢いが必要です。
  • LULUCF(Land Use, Land Use and Forestry);土地利用は2013年度と同等を維持すると仮定し排出率を1.0としました。
  • これら以外は、継続的な技術改良の効果が得られることを想定し、4月22日以前の削減目標(26%)に近い一律30%とし排出率を0.7としました。

結果は下表のとおり。これで47%削減を達成できます。

 

 

超テキトーに計算した割には政府の目標に近い結果が得られました。多少のばらつきはあるにしても似たような試算したのだろうと推察します。

これを実現するには相当の努力が必要です。10年内に発電および熱供給由来の二酸化炭素を60%削減するのは無謀と思える一方、2030年はあくまでも通過点であってゴールは2050年の実質ゼロであり、いずれやらなければならないと真摯に向きあっていくしかないですね。

*「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」のデータをもとに検討

 

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