石炭火力発電の削減に賛成
政府は二酸化炭素排出量の多い非効率な石炭火力発電所による発電量を2030年度までに段階的に9割削減する方針を発表しました。
約100基が該当するようです。将来の石炭火力発電所の廃止を早々に決めたヨーロッパを中心とした先進諸外国に比べると出遅れてしまっていますが、とにかく石炭火力発電のs削減・廃止に向けて一歩前進したことは喜ばしいことです。
これまで日本は石炭火力発電の削減には消極的でした。2019年12月にスペインで行われた温暖化対策を話し合う国際会議「COP25」では、石炭火力発電の廃止に消極的な国として、国際NGOのグループから「化石賞」をもらうという恥ずかしい思いもしています。
今後、実際に削減されていくのか、期待して見ていきたいと思います。
石炭火力発電はなにがよくないのか?
石炭火力発電は二酸化炭素の排出量が多いです。
石炭火力発電では、1kwhの発電を行うために700~900gの二酸化炭素を排出します。これがおおきな問題です。天然ガス(LNG)を用いた発電では300~400g程度の二酸化炭素排出量で済みますので、2倍以上の差があります。
二酸化炭素の排出は温暖化の主原因と言われているため、できるだけ二酸化炭素を出さない発電方法が望まれます。
石炭火力発電を減らすとどれくらい二酸化炭素がへる?
段階的に減らすというニュースはあるものの、石炭火力の削減によってどれくらい二酸化炭素がへるのか書かれたものを見つけきれないので、簡単な試算をしました。
国内の二酸化炭素排出量は年間約12億トンです。このうち、発電に伴うものは約40%ですので4.8億トンです。この4.8億トンの大部分は石炭発電とLNG発電によるものです。もし、石炭火力発電をやめてLNG発電に置き換えた場合どうなるのか?
ギンジーのエイヤー試算によると、1~1.5億トンの二酸化炭素を減らすことができます。大きな量ですね。
高効率な石炭発電所の建設は続く?
そうなんです。高効率な石炭火力発電所の建設は今後も認められるようで、とても残念です。
「高効率」といっても所詮石炭です。二酸化炭素排出量は1kwhあたり700gくらいですので、LNG火力発電に比べると、見劣りします。
もし国内で高効率な石炭火力発電が継続される場合は、期待するほど二酸化炭素はへらないでしょう。
石炭火力発電に頼らざるを得ない海外への技術輸出も考えているようですが、世界の潮流からみて、今後石炭火力を選択する国がどれくらいあるのか?疑問に思っています。
なぜ石炭発電を継続するのか?
石炭火力発電を推進する人たちは、値段の安さや、LNGに比べて危険度が小さいこと(石ころのような固体なので取り扱いやすい)、技術が進み石炭と言ってもクリーンであること、LNGに頼りすぎると万一供給を絶たれたときに必要なエネルギーを得られないことを主張します。
確かに、家計に優しい方がうれしいし、経済とのバランスをとったり、安全保障面を考えると仕方ないと思えるようにも見えます。ですが、それで本当によいのでしょうか?
未来を担う世代のことを考えてほしい
産業革命前からの平均気温上昇を2.0℃(望ましくは1.5℃)に抑えなければ、大きな気候変動が起こるといわれ、このまま放置すると2030~2050年頃には1.5℃上昇する可能性が指摘されているというのに。。。2030年というと、あと10年です。あまりにも悠長な対応だと思います。
そんな先のことどうなるか分からないし、仮に気温が上昇したとして、本当に自然災害に直結するのか?というご意見もありそうです。ですが、百年に一度、数十年に一度という豪雨や災害が毎年のように襲っています。二酸化炭素排出にともなう温暖化との関係がないとは言い切れないし、むしろ、これまで専門家が心配してきたとおりの事態が発生しています。
今現在の生活を優先するなら、経済や安全保障とのバランスを取ってゆっくりと移行するのは妥当な判断に見えます。ですが、未来を担う世代に住みやすい世の中を残したいなら、直ちに、少しでも二酸化炭素排出量を抑制できる方法に移行すべきです。そうしなければ、安全な生活ができなくなってしまうことを心配します。
まずは石炭発電をやめてLNG発電を普及させることが重要です。それでも石炭よりもマシなだけであって、根本的ではありません。水力、風力、太陽光、地熱などの自然エネルギーを早く普及させてほしいです。
日本は日照時間が短いので太陽光発電には向かないと言われ続けてきましたが、東日本大震災後、急速に普及し、日本各地に大規模な発電施設をみかけるようになりました。2019年度、太陽光発電の占める割合は約7%にもなりました。風力発電はまだまだ少ないですが、場所を選べば、もっと増やすことはできると思います。地熱は潜在的な発電能力が大きくもっと有効活用できるはず。やれない理由ではなくて、どうやったら実現できるかを皆で考えて行く世の中にしたいですね。
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